【インタビュー】砂川 さつきさんのストーリー

出産をデザインする

~自宅出産が教えてくれたこと~

今回お話を聞かせてくれたのは、6人の子の出産を経験した砂川さん(愛称:さっつん)。 「自宅で産むなんて、こわくないの?」「ちゃんと安全なの?」そんな疑問を持つ方も多いはず。 でも、さっつんが経験した出産の話には、心と体に寄り添う大切さ、そして“自分らしく産む”という選択肢がありました。

病院出産の違和感が教えてくれた「自分らしさ」

最初の出産は、近所の病院。 「仰向けで足を広げる」「まぶしいライトの下で産む」ことに強い違和感を覚えたと、さっつんは話します。 理学療法士としての知識からも、それが産みにくい体勢だと理解していました。 明るい分娩室に入った途端、陣痛が消えてしまい、分娩台で4時間も待機した経験や、何の説明もないまま会陰を切開され、出産そのものより縫合の痛みがつらかったこと。そのひとつひとつが、心に重く残ったそうです。 「もうこんなお産はしたくない」 その思いが、さっつんを自分らしい出産への道へ導いていきます。

助産院から、自宅出産へ。広がっていった選択肢

2人目は助産院でのお産。助産師さんの寄り添う姿勢と、自然に進むお産の心地よさに「またここで産みたい」と思ったそうです。 ところが、3人目の妊娠中にその助産院が移転建て替え中。困っていたときに、以前から信頼していた助産師さんが「自宅でもお産できるよ」と声をかけてくれました。 新しく引っ越した戸建ての家も「お産にぴったりの場所」と背中を押され、人生初の自宅出産を決意。その体験は、「またすぐにでも産みたい!」と思ってしまうほど素晴らしかったと言います。 その後、4人目、5人目、6人目も自宅で出産。自宅だからこそ味わえる“気持ちよさ”と“安心感”が、出産のイメージを根底から変えていきました。

お産は、もっと自由でいい

自宅出産では、自分の体にとって自然な体勢で産めることが大きな魅力です。四つん這い、膝立ちなど、楽な姿勢をとれることで、痛みも逃しやすく、お産もスムーズに進みやすいそう。 また、会陰切開をせずに産めることも多く、実際さっつんは自宅出産では産後の痛みが「ゼロに近かった」と語ります。 担当の助産師さんが妊娠初期から産後まで寄り添ってくれる「伴走型ケア」も、安心材料のひとつ。健診では体のケアはもちろん、生活のことや心の変化にも目を向けてくれます。 「お母さんになる準備を、体だけじゃなく心でもできた」と、振り返ります。

「何かあったら?」という不安と、現実とのギャップ

自宅出産には「危なくないの?」「もしもの時どうするの?」という声がつきものです。実際、さっつんも親から反対されたそうですが、助産師さんたちは医療機関と連携しており、必要があれば病院に搬送できる体制が整っています。 むしろ、助産院や自宅出産の方が、病院よりも搬送率が低いというデータもあるほど。 「正しい情報が知られていないから、不安になるだけなんだと思う」 そう語るさっつんの言葉には、確かな経験と信頼がにじんでいました。

出産は、自分で「デザイン」していい

さっつんが伝えたいのは、「出産は、与えられた流れに乗るだけのものじゃない」ということ。 「自分で選んで、自分らしくデザインしていい」 そう思えるだけで、妊娠中の不安や、想定外の出来事さえも、受け入れやすくなる。十分に母親になる準備を終えての出産を経験すると、母乳の出やすさや、心の余裕など、産後の育児にも大きな影響を与えます。

 未来の妊婦さんに、選択肢を届けたい

さっつんは今、妊婦さんと助産師をつなぐマッチングサイトを立ち上げています。 出産の“選択肢”が知られていないこと、そして助産師さんとの出会いの機会が少ないことが、自由な出産を妨げていると感じているからです。 「出産の選択肢を残したい」そんな思いを胸に、今日も彼女は行動を続けています。 

最後に

ご本人からのメッセージ。
出産は、命の誕生だけでなく、自分自身と深く向き合う大きな時間でもあります。
「こんなふうに産めたらいいな」「こんな選択肢があるんだ」と感じていただけたなら嬉しいです。 どんな形であれ、“あなたらしいお産”が選べるように。心と体が納得する、その瞬間を迎えられますように。

さっつん

ライター名:さっつん

居住地:熊本県

年齢:40代

これから出産を迎えるすべての方が、自分自身の力を信じ、温かく満たされた時間を過ごせますように。

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