パパ友コミュニティの誕生
「気軽に相談できる一生の友だちがほしい」その想いから始まった場づくり
子どもには「友だちをたくさんつくりなさい」と言うのに、パパに友だちがいないのでは説得力がない、そんな気づきが、高橋さんの人生を変えた。 シングルマザーのもとで育ち、結婚、転勤、子育て、そして独立。 挑戦に満ちた人生を歩むなかで、高橋さんは、何度も孤独に直面した。 特に子育て期、悩みを気軽に話せる相手がいないことの苦しさを痛感したという。 世の中にはママ友という言葉があるのに、パパ友は聞かない。 「それなら自分でつくろう」そう思い立ったのが、パパのためのコミュニティである。 当初はランチ会を開いてもひとり。東京まで足を運び、「パパのコミュニティをやっています」と声をかけ続ける日々が半年以上続いた。「稼ぎもしないで、毎回東京まで行って一体何をやってるの?」と家族から言われることもあったが、「一生の友だちがほしい」という想いだけを頼りに続けた。 転機が訪れたのはコロナ禍。 対面が難しくなり、「終わった」と感じた時、オンライン飲み会という新たなスタイルに可能性を見出した。画面越しに悩みを語り合ううち、少しずつ共感が集まり、「自分もそんな場をつくりたかった」という仲間が増えていった。 現在では、仕事や家庭のことを気軽に話せる、パパたちの居場所として機能している。 「稼ぐためのビジネスコミュニティではなく、ただ人としてつながれる場所をつくりたかった」と高橋さんは語る。 誰かと比較されることも、成果を求められることもない。ゆるやかで、それでいて深いつながりが、ここに生まれている。
「会社のため」から「自分たちの人生」へ
退職とともに動き出した自分らしい生き方。 高橋さんがこのコミュニティを立ち上げるに至った背景には、大きな決断があった。 神奈川県湯河原町出身。高校卒業後に就職し、24歳で結婚。3人の子どもを育てながら安定した企業で働いていた。 しかし、転勤先で長男・次男に弱視が見つかり、妻は育児ノイローゼ寸前の状態に。相談できる人も近くにおらず、夫婦ともに限界を迎えていた。 「このまま会社のために生きていくのか?」という疑問を抱き、31歳で退職。家族で神奈川に戻ることを選んだ。 その後も試練は続いた。転職先では人間関係に悩み、収入も激減。投資に失敗し、心が折れそうになった時、友人の「お金は先進国で学ぶべき」という言葉に救われる。 その一言がきっかけとなり、「自分と家族のために」金融知識を学び始める。そしてそれが、ファイナンシャルアドバイザーとして独立する道へとつながっていく。
人とのつながりが原動力
パパ友がいるだけで、日常が少し楽になる コミュニティ内では、何を話しているのか。 「子どもの写真を見せ合ったり、奥さんの自慢をしたり(笑)。本当にたわいない話ばかり。でも、それがすごく大切なんです。」 家庭のこと、仕事のこと、将来への不安など、多くの男性は、そうした悩みを表に出さない。 だからこそ、他愛もない会話の中で「わかる」「おれもそうだった」と言い合える関係性が、何よりの支えとなる。 高橋さん自身、子どもたちの視力の問題を乗り越えた経験を、コミュニティ内で何度も共有してきた。専門機関の情報や体験にもとづいた知識の交換は、パパたちにとって貴重な安心材料となっている。 情報収集の場ではなく、孤立を防ぐための場。何かあった時に気軽に相談できる「人生の友だち」がいる。その存在が、心の支えになる。
子どもたちに「かっこいい大人」の背中を見せたい
現在41歳の高橋さんは、自分の健康寿命を「あと30年」と見据え、その時間をどう使うかを真剣に考えている。 「子どもたちに“かっこいい大人”を見せたい。そのためには、自分が人との関わりを大切にしていかなければならない」 週末には自宅でBBQやサウナを開き、家族ぐるみのつながりが生まれるような場づくりにも取り組んでいる。 「パパ」「会社員」などの肩書きを超えて、一人の人間としてつき合える関係を築いていきたいという思いがある。 つながりは、人生をあたたかくする 「マイノリティはチャンス」 そう語る高橋さんは、世の中にないものを生み出す勇気を持っている。自分の想いに正直に、少し無謀でも進んできた姿勢こそが、いまの信頼を築いている原動力といえる。 「一生の友だちがほしい」その願いが形になった「パパのためのコミュニティ」は、今日も、お互いの人生をあたたかく支えている。
ライター名:しゅうちゃん
居住地:神奈川県
年齢:40代
人はいつからでも変われます。 その為には、付き合う人、環境で変わります! 少ないチャンスを掴んで欲しいです

